宮本志穂税理士事務所
宮本志穂
- 保有資格
- 税理士試験官報合格:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・相続税法、宅建士
2026年03月23日

相続が発生した直後は、悲しみの中でも「待ったなし」で手続きが押し寄せます。
多くの方がネットで情報収集をすると思いますが、ネットに転がっているのはあくまで「一般論」に過ぎません。
特に総資産が1億円を超える不動産オーナー様の場合、一般論に従って判断すると、評価方法や特例の選択を誤り、結果として数千万円単位で税負担が変わるケースも珍しくありません。
調べるべき項目を優先順位の高い順に整理し、実務で見落としがちなポイントや判断の分かれ目について、税務のプロの視点から解説します。
相続は「期限」との戦いです。まずは、以下の主要な4つの節目を把握してください。
| 相続 手続き 流れ 相続 カレンダー 期限 |
「相続税が発生するのか?」を判定する基準です。
遺産総額が基礎控除額の範囲内なら納税も申告も不要ですが、1億円以上の資産があるなら、まず超えていると考えるべきでしょう。
※遺産総額が「基礎控除額」以下なら、相続税はかかりません。
| 相続税 基礎控除 計算 相続税 申告 必要か |
法律で決められた「遺産をもらう権利がある人」を確認し、「誰が、どの順番で相続するのか」を確定させます。
※留意点※
親族関係が複雑な場合や、遺言書がある場合は状況が変わります。特に「前妻との間の子」や「養子」がいる場合、ネットの図解だけでは判断を誤るリスクがあります。
| 法定相続人 範囲 相続 順位 図解 |
遺言書がある場合、原則として「遺産の分け方」は遺言の内容が何よりも優先されます。
※留意点※
自宅の金庫だけではなく、法務局の「遺言書保管制度」も必ず確認してください。また、自宅で見つけた「封印のある遺言書」を勝手に開けてはいけません。後のトラブルや過料(罰金)の原因になります。開封する際は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です。
| 遺言書 探し方 遺言書 検認 手続き |
もし亡くなった方に「借金」が多い可能性があるなら、この期限が「最優先」です。
※留意点※
相続放棄は、単なる「辞退」ではありません。家庭裁判所へ正式な申し立てを行う必要があり、法的にも非常に重い決断です。期限の3か月を1日でも過ぎれば、借金も含めすべてを引き受けることになります。
| 相続放棄 期限 被相続人 借金 調べ方 |
正確な財産目録(リスト)がなければ、遺産分割の話し合いも相続税の申告も進められません。まずは「どこに何があるか」を網羅的に把握しましょう。
※留意点※
金融機関が残高証明書の発行依頼などで口座名義人の死亡を把握すると、相続トラブルや預金の不正引き出しを防ぐため、ただちに口座が凍結されます。それにより公共料金や税金の引き落とし、葬儀費用の支払いが滞るケースが散見されます。また、特に、不動産オーナー様の場合、家賃の入金口座が凍結されると資金繰りに直接影響が出るため、影響範囲の把握と対応順序が極めて重要になります。
| 相続財産 調査 リスト 名寄帳 取り方 銀行口座 凍結 解除方法 |
相続税の申告と納税は、亡くなった翌日から10か月以内です。
もし遺産分割で「もめた」場合、この期限はあっという間にやってきます。特に遺産に不動産が含まれる場合、財産評価と遺産分割協議がボトルネックとなり、期限直前まで確定できないケースが非常に多いのが実情です。
話し合いがまとまらないからといって放置すると、「配偶者の税額軽減」などの強力な節税特例が使えなくなるだけでなく、延滞税などのペナルティが発生します。
| 相続税 申告期限 10か月 相続税 延滞税 計算 |
令和6年4月1日から、不動産の名義変更が法律で義務づけられました。
相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければなりません。正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料(罰金)の対象になる可能性があります。
※留意点※
登記を放置した不動産は「売却」も「融資の担保」にすることもできません。不動産オーナー様にとって、資産が「塩漬け」になり身動きが取れなくなることは、経営上大きな制約となる可能性があります。
| 相続登記 義務化 いつから 相続登記 必要書類 |
遺産総額が1億円以上ある場合、特例を使いこなせるかどうかで納税額が数千万円単位で変わります。
※留意点※
例えば「小規模宅地等の特例」は土地評価を8割下げますが、適用には「同居要件」や「事業継続」など、細かな条件があります。ネットの簡易診断で「使える」と判断して申告した特例が税務調査で否認されると、追徴課税に加えて延滞税・加算税が発生し、当初想定より大幅に負担が増えるリスクがあります。
| 小規模宅地等の特例 要件 配偶者控除 相続税 |
ここまでが、相続発生後に最低限押さえておくべき基本事項です。
しかし実際には、これらをどのように組み合わせて判断するかによって、最終的な税負担や資産の残り方は大きく変わります。特に重要となるのが、「最新税制への対応」と「二次相続まで見据えた設計」です。
相続開始前5年以内に取得した不動産は「時価評価」とされる方向となっており、これまでのように路線価ベースで評価を圧縮する手法は、効果が出にくくなっています。
同じ対策でも「実行するタイミング」や「保有期間」によって結果が大きく変わる時代になっており、表面的な情報だけで判断することは非常に危険です。
相続対策で見落とされがちなのが「二次相続」です。
一次相続で配偶者に多くの財産を残せば、その時点の税負担は軽減できますが、二次相続では基礎控除が減るため、結果として子世代の税負担が大きくなるケースも少なくありません。
実務上は、一次相続と二次相続を通算して最も税負担が少なくなる分け方を検討することが重要になります。
これらの判断は、単に制度を知っているだけでは不十分です。
こうした複数の要素を組み合わせて、「そのご家庭にとっての最適解」を設計することが求められます。
実際には、選択の違いによって数千万円単位で結果が変わるケースも珍しくありません。
| 二次相続 対策 令和8年度 税制改正 相続 生前贈与 ルール改正 |
ネットで検索することは素晴らしい第一歩です。しかし、検索結果はあくまで一般論です。
ネットで大まかな方向性を掴んだら、次はぜひその情報を携えてご相談ください。情報のピースを繋ぎ合わせ、あなたの家にとっての「最適解」を一緒に設計しましょう。
初回相談は無料です。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
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本記事の内容は、執筆時点の法令・通達に基づいた一般的な情報提供を目的としております。実際の相続においては、個別の事案(財産構成、親族関係、特例の適用要件等)により、税務判断や最適な対策は大きく異なります。 記事の内容には万全を期しておりますが、掲載情報の利用によって生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねます。具体的な判断にあたっては、必ず事前に当事務所、またはお近くの専門家にご相談ください。
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