相続手続きで「残高証明書」が必要な理由と、口座凍結前にやるべきこと

2026年03月25日

相続税申告には、被相続人(故人)が亡くなった時点の銀行の「残高証明書」が必要と聞きました。故人が使っていた通帳には、死亡時点を含めこれまでの履歴が記帳されていますので、それで代用できませんか。

通帳に記録が残っていれば十分では、と思われるかもしれません。

しかし、相続税の申告においては、通帳の数字だけでは不十分なケースがほとんどです。

1. なぜ「通帳」があるのに「残高証明書」が必要なのか?

  • 既経過利息(きけいかりそく)の算入

    定期預金などの場合、最後に利息がついてから亡くなった日までに発生している「本来もらえるはずの利息」も相続財産に含める必要があります。

  • これは銀行に「相続用の残高証明書」を依頼しなければ算出できません。
  • 相続税申告の「証拠能力」を高める

    税務署は、申告書に添付された残高証明書の数字を「正解」としてチェックします。

  • 通帳のコピーだけでは、後に「他にも口座があるのではないか?」という疑念を招くリスクがありますが、公式な証明書を揃えることで申告の信頼性が大きく高まります。
  • 2. 「残高証明書」の取得前に確認すべきこと~「口座凍結」に注意

  • 銀行が「残高証明書」の発行依頼などで口座名義人の死亡を把握すると、口座は即座に凍結されるため、その後は自由に資金を動かすことができなくなります。そこで重要になるのが「口座凍結前の整理」です。以下の点を事前に把握しておくとよいでしょう。
    • ・どの口座から、どの支払い(固定資産税・借入返済・管理費等)が行われているか
    • ・家賃収入の入金口座はどこか
    • ・当面の運転資金として確保できる現預金はどの程度か

    特に不動産オーナー様の場合、家賃収入や借入返済が絡むため、影響は想像以上に大きくなります。

  • 実際には、口座凍結後に「家賃が入金できず返金処理になった」「ローンの引き落としが止まり金融機関への説明対応に追われた」といったケースも少なくありません。なお、葬儀費用や当面の生活費については、令和元年7月1日に施行された「預貯金の仮払い制度」を利用することで、遺産分割協議の前でも一定額まで引き出すことが可能になっています。
  • 3. 残高証明書を「スマートに」取得するための3ステップ

    口座が凍結されても問題ないことが確認できたら、「残高証明書」の発行を銀行に依頼してください。手続きには平日の日中に銀行の窓口へ出向く必要があり、お仕事でお忙しい方には負担となりますので、以下の準備を整え、二度手間を防ぎましょう。

    STEP 1:必要書類の準備

    一般的に以下の書類が求められます。

    • ・亡くなった方の除籍謄本(出生から死亡まで全ての戸籍が必要な場合もあります)
    • ・手続きする方の戸籍謄本(相続人であることを証明するもの)
    • ・実印および印鑑証明書
    • ・本人確認書類(運転免許証など)

    STEP 2:全口座の「名寄せ(なよせ)」を依頼

    特定の口座だけでなく、「他に口座がないか」を銀行内で検索してもらう(名寄せ)を同時に依頼してください。思わぬところに休眠口座が見つかるケースも少なくありません。

    STEP 3:郵便物やネットバンキングの確認

    最近は「通帳を発行しない」ネット銀行も増えています。亡くなった方のスマートフォンや、届いている郵便物(キャッシュカードの案内等)から、口座の有無を割り出す必要があります 。

    名義預金は相続財産になる~税務調査で最も狙われるポイント

    銀行手続きの際、特にお気をつけいただきたいのが「名義預金」です。名義預金とは、口座名義人と、実質的な管理・資金の拠出者が異なる預金のことです。

    例えば、「奥様や、お孫様名義の通帳」であっても、その原資(お金の出どころ)が亡くなった方である場合、それは「亡くなった方の財産」として申告しなければなりません。

    これは税務調査で最も厳しくチェックされるポイントの一つです。

  • 銀行で残高証明書を取得するタイミングで、家族名義の口座も併せて整理しておくことが、将来の税務リスクを減らすうえで非常に重要です。

Q&A:よくあるご質問

Q1:銀行に逝去を伝えると、すぐに口座が使えなくなりますか?

A1:はい、原則として即日凍結されます 。これは、一部の相続人による預金の勝手な引き出しを防ぎ、遺産を守るための法的処置です 。そのため、公共料金の振替口座の変更など、事前の準備が理想的ですが、凍結後も「仮払い制度」により一定額の引き出しは可能です。

 

Q2:銀行手続きの代行をお願いすることは可能ですか?

A2:はい、税理士や行政書士などが代理人として取得することが可能です。資金の流れの整理と銀行手続きは、相続手続き全体の中でも初動対応を誤りやすいポイントですので、専門家へのご相談をおすすめします

「相続手続きの初動、ひとりで抱え込まないでください」

当事務所では、残高証明書の取得だけでなく、口座凍結後の資金管理や手続きの進め方まで、専門家がしっかりサポートします。

初回相談は無料です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

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この記事を担当した税理士

宮本志穂税理士事務所

宮本志穂

保有資格
税理士試験官報合格:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・相続税法、宅建士

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