相続税の土地評価、路線価のまま申告していませんか? ~税理士が教える『減額の種』の見つけ方~

2026年04月19日

相続税における土地評価は、路線価を掛ければ終わり――そう思っていませんか。

たしかに、相続税における土地評価の基本は「路線価方式」です。しかし、不動産税務を専門とする税理士から言わせていただくと、路線価をそのまま機械的に当てはめるのは、「あえて高い税金を払いにいく」ようなもの。実は、そのままでは正しく評価できない土地がほとんどなのです。

今回は、私が現地調査や役所調査で見つけ出す「減額の種」と、令和8年度の最新税制がもたらす影響について、詳しく解説します。

1.  路線価評価は、あくまで「スタート地点」にすぎない

  • 路線価とは、道路に面する「標準的な宅地」の1㎡あたりの価格を指します。通常、実勢価格(時価)の7割から8割程度に設定されていますが 、ここで重要なのは、「あなたの土地が、本当にその『標準的』な条件に当てはまるか?」という点です。

    現実の土地には、一つとして同じものはありません。

    • 形がいびつ
    • ・道路との間に高低差がある
    • ・騒音や振動がある

    こうした「マイナス要因」を一つひとつ丁寧に拾い上げ、評価額を削ぎ落としていく作業こそが、税理士の腕の見せ所です。いわば、土地評価は「計算」ではなく「減額の種を探す仕事」なのです。

  • 2. プロが絶対に見逃さない「減額の種」5選

  • 私が土地診断を行う際、必ずチェックするポイントをご紹介します。
    2.1 いびつな形(不整形地)

    三角形の土地や、通路が細長い「旗竿地」などは、建物を建てる際に制約が多く、使いにくい土地とみなされます。この「使い勝手の悪さ」を数値化(不整形地補正)することで、評価額を大きく下げることが可能です。

    2.2 間口が狭い・奥行きが長い

    いわゆる「うなぎの寝床」のような土地です。間口が極端に狭いと、建築基準法上の制限がかかったり、重機が入りにくく建築コストが跳ね上がったりします。こうした背景を根拠に、評価の減額を主張します。

    2.3 接道条件の不備(セットバック等)

    道路の幅員が4m未満の場合、将来建て替える際に道路の中心線から2m下がる(セットバック)必要があります。この「自由に使えない面積」については、当然ながら評価を下げることができます。

    2.4 高低差・がけ地

    道路よりも極端に低い土地や、敷地内にがけがある場合、擁壁(ようへき)の設置費用などが必要になります。現地確認を怠ると、こうした「見た目ではわからないコスト」を見落とし、過大な評価額で申告してしまうことになります。

    2.5 貸している土地(貸家建付地)

    賃貸アパートやマンションが建っている土地は、「貸家建付地」として評価されます。

    自用の土地に比べて、借地権割合や借家権割合に基づいた大幅な評価減(通常、2割程度)が適用されるため、不動産相続における「代表的な節税手法」とされてきました。

     

  • 3. 【重要】令和8年度税制改正が変える「土地評価の常識」

    ここで、忘れてはいけないのが令和8年度税制改正大綱についてです。これまでの「当たり前」だった節税パターンが、根底から覆されようとしています。

    「5年ルール」の衝撃

    今回の改正の核心は、「相続開始前5年以内に取得または新築した貸付用不動産」の評価方法が厳格化される点にあります。

  • 項目 これまでの常識 令和9年(2027年)からの新ルール
    評価基準 路線価ベース
    (時価の40~60%程度になることも)
    実勢価格(時価)ベース
    評価額の目安 大幅な圧縮が可能 取得価額の8割相当(事実上の増税)
    節税効果 相続直前のアパート建築が極めて有効 直前の対策による節税効果が大きく削られる

    「相続が近くなってから慌ててアパートを建てる」といった駆け込み対策は、令和9年1月以降に発生する相続では、現金で持っているのと大差ない評価(時価評価)をされてしまうことになります。

    ただし、改正通達の日から遡って5年以上前から所有している土地に、新たに貸家を建てたケースなどは、従来どおりの評価が認められる「セーフハーバー(例外)」となる可能性も示唆されています。

    「いつ取得した土地か」「いつ建てたか」の精緻なシミュレーションが、大きな差を生むことになります。

  • 4. 『計算』だけでは見えない、将来のリスク

  • 路線価評価は一見、誰でも計算できるように見えます。しかし、実際には以下のプロセスが不可欠です。・現地確認: 登記簿や公図だけでは見えない、段差や隣地との境界を確認する
    ・役所調査: 都市計画法や建築基準法の制約を洗い出す
    ・利用状況の精査: 貸し付け条件や契約内容が評価減に使えるか検討する

    これを怠ると、本来払わなくてよい税金を払うだけでなく、将来の売却や融資の際に「思っていた価値と違う」という事態を招くことになります。

    また、今回の相続税を安くすることばかりに目を奪われ、「二次相続(次に配偶者が亡くなる時)」を見据えた設計が抜け落ちてしまうケースが、実際の相談現場では少なくありません。一次相続と二次相続を合算して、家全体の資産を最大化する。それこそが、私が提唱する「繋ぐ相続」の形です。

まとめ|土地評価は“探す仕事”

相続税における土地評価は、「いかに減額要素を正しく見つけられるか」にかかっています。
同じ土地でも、評価する税理士の専門性によって結果が変わるのはそのためです。特に不動産オーナー様にとって、土地は単なる財産ではなく、次世代へ繋ぐ大切な基盤。過去の成功体験や、表面的な路線価計算に頼ることは、今、最も大きなリスクと言えるでしょう。
まずは一度、ご自身の土地にある「減額の種」を一緒に探してみませんか?
東京・日本橋にある相続税・不動産税務を専門とする当事務所では、初回相談を無料で承っています。 不動産を多くお持ちの方、令和8年度改正の影響が気になる方は、お気軽にご連絡ください。

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本記事の内容は、執筆時点の法令・通達に基づいた一般的な情報提供を目的としております。

実際の相続においては、個別の事案(財産構成、親族関係、特例の適用要件等)により、税務判断や最適な対策は大きく異なります。

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具体的な判断にあたっては、必ず事前に当事務所、またはお近くの専門家にご相談ください。

この記事を担当した税理士

宮本志穂税理士事務所

宮本志穂

保有資格
税理士試験官報合格:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・相続税法、宅建士

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