「遺言書×家族信託」で書類集めの苦労を軽減!二次相続を見据えた資産承継

2026年10月07日

第4回「不動産オーナーのための相続準備と手続き完全ガイド」(全4回)

「遺言書×家族信託」で書類集めの苦労を軽減!二次相続を見据えた資産承継

親の認知症による資産凍結を防ぎ、「税務×法務」のワンストップで次世代へ美しく繋ぐ方法

「身内が亡くなった後に、大量の戸籍を集めたり、不動産の登記名義を変えたりするのは大変そう……」「親が元気なうちに、何かできる準備はないかしら」

面談でこのようなご相談を非常に多くいただきます。

連載の第1回〜第3回でお伝えしてきましたとおり、相続が発生してから書類を集めたり、不動産評価額を下げる方法を調べたり、名義変更を行ったりするのは、ご遺族さまにとって大きな時間的・精神的負担となります。

しかし、親御さまが元気なうちに「遺言書」や「家族信託」を正しく準備しておけば、相続発生後の煩わしい手続きや書類集めの苦労を劇的に減らすことができるのです。それだけでなく、近年増えている「親の認知症による資産凍結」を防ぎ、将来の「二次相続税の跳ね上がり」や「兄弟間のトラブル」まで一挙に予防することができます。

本稿では、不動産税務に強い女性税理士・行政書士の視点から、遺言書と家族信託を組み合わせた「スマートな生前対策の決定版」について分かりやすく解説します。

💡30秒でわかる!この記事のポイント

・生前対策で「相続後の書類集め」の手間を大幅削減:
公正証書遺言や家族信託契約を結んでおくことで、相続発生時に大量の戸籍を追跡・提出する苦労や、遺産分割協議の難航を回避できます。
・「家族信託」で親の認知症による資産凍結を完全に防ぐ:
親が元気なうちに不動産や預金の管理権限を子に信託しておくことで、万が一認知症になっても実家の売却やアパートの修繕・賃貸契約がスムーズに行えます。
・「公正証書遺言」で二次相続の税金と遺留分トラブルを同時予防:
一次相続だけでなく、配偶者が亡くなった後の二次相続まで見据えた「最適な税務配分」を法的に確定させることができます。
・「税理士×行政書士」のワンストップでワンランク上の安心を:
当事務所では、高度な税務シミュレーションから家族信託・遺言書の作成、将来の遺産整理・名義変更まで、窓口一つでトータルサポートします。

1. なぜ「生前対策」を行うと、相続後の書類集めとトラブルが「ゼロ」になるのか?

相続が発生してから手続きを始める場合、亡くなられた方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せ、相続人全員で集まって遺産分割協議書を作り、全員の実印と印鑑証明書を揃えなければなりません。

しかし、生前に「遺言書」や「家族信託」を準備しておくと、このプロセスが劇的に簡略化されます。

1.1 法定相続情報や戸籍集めの苦労が最小限に抑えられる

公正証書遺言や家族信託契約が存在する場合、あらかじめ所有者・管理者の意思と帰属先が公的に証明されているため、金融機関や法務局での手続きにおいて提出を求められる書類の数が格段に少なくなります。ご遺族さまが平日に役所を何軒も回るような苦労は必要ありません。

1.2 認知症になると「生前贈与」も「不動産売却」も完全ストップする罠

高齢の親御さまがいらっしゃるご家庭で最も恐ろしいのが、親御さまの「認知症発症(判断能力の低下)」です。

法律上、意思能力がなくなったとみなされると、口座が凍結するだけでなく、それまで行っていた生前贈与(暦年贈与など)や、実家・収益不動産の売却・買い替え、アパートの大規模修繕などの契約行為が一切できなくなります。つまり、認知症になった瞬間から、すべての税金対策・資産活用が完全凍結してしまうのです。

この「資産凍結リスク」と「相続後の手続き負担」を同時に解決するのが、遺言書と家族信託の組み合わせです。

2. 【家族信託】認知症リスクを遮断し、不動産・預金の管理を子へスマートに託す

生前対策の柱となる一つ目が、近年の法改正と実務で急速に普及している「家族信託(民事信託)」です。

2.1 家族信託の基本構造と「信託口口座」の活用

家族信託とは、親(委託者)が所有する不動産や預貯金の「管理・処分権限」を、信頼できる子ども(受託者)に託し、そこから生まれる利益(家賃収入や居住権)は引き続き親(受益者)が受け取る契約スキームです。

預貯金については、金融機関で「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」を開設して管理します。この口座は子の個人資産とは法的に明確に分別されるため、税務署から「名義預金」と疑われる心配がありません。

2.2 親が認知症になっても、実家の売却やアパート修繕がスムーズにできる

家族信託を締結しておけば、将来的に親御さまの認知症が進行した場合でも、受託者であるお子さまが自身の権限で、以下のような手続きを滞りなく進めることができます。

  • ・親の施設入所費用を作るための「実家の売却」
  • ・賃貸アパートの大規模修繕・建替え・賃貸契約の締結
  • ・信託口口座からの親の医療費・介護費用のスムーズな引き出し

裁判所が関与する「成年後見制度」と異なり、柔軟な資産運用や親族間での自由な資産管理が可能となる点が、不動産オーナーさまにとって最大のメリットです。

3. 【遺言書】二次相続まで見据えた「公正証書遺言」で権利と税務を同時に確定

家族信託とセットで構築すべきもう一つの柱が、公証役場で作成する「公正証書遺言」です。

3.1 単なる「分け方」ではなく「二次相続の税金」を計算した遺言作成

一般的な遺言書は「長男に実家を、長女に預金を」といった財産分けの指定にとどまりますが、当事務所の遺言作成は一味違います。

例えば、お父さまが亡くなった際、一次相続でお母さまが取得する割合と、将来お母さまが亡くなった時の二次相続でお子さま方が負担する相続税額をあらかじめ綿密にシミュレーションし、トータルでご家族の手元に多くの資産を残せる遺言書を作成します。

3.2 遺留分トラブルを防ぐ「付言事項」と「代償分割」の設計

都心部に1億円以上の不動産をお持ちの場合、特定の同居のお子さまに不動産を引き継がせると、他のご兄弟の「遺留分(法律上保障された最低限の取り分)」を侵害してしまうことがあります。

行政書士として遺言書を作成する際は、不動産を引き継ぐ子から他の子へ現金を支払う「代償分割」の条項を盛り込んだり、遺言書の最後に親御さまの感謝と想いを綴る「付言事項(ふげんじこう)」を添えたりすることで、相続開始後の感情的なもつれや争いを未然に防ぎます。

4. 何もしない相続 vs 家族信託・遺言書を活用したスマート承継

生前対策の有無による「手続き・税負担・安心感」の決定的な違い

比較項目 対策を何もせず相続を迎えた場合 ❌ 「家族信託+遺言書」を準備した場合 ⭕
親の認知症発症時 口座・不動産が完全凍結。売却も修繕も不能に 受託者(子)の判断で実家売却やアパート修繕が可能
相続後の書類集め 故人の出生〜死亡までの全戸籍の収集で難航 遺言書・信託契約書により必要書類が大幅に削減
遺産分割協議 相続人全員の判印が必要。意見対立で争族化 遺言書により協議不要。親の意志どおりに即時確定
二次相続の税金 一次で配偶者控除を使いすぎ、二次で税金跳ね上がり 一次・二次のトータル税額を事前計算した最適配分
手続きのサポート 自分で銀行や法務局を何軒も回る必要あり 当事務所(税理士×行政書士)がワンストップ一括代行


📌 よくあるご質問(Q&A)

Q. 家族信託と遺言書は、どちらか片方だけで十分なのでしょうか?なぜ両方を組み合わせる必要があるのですか?

A. 役割が異なるため、両方を組み合わせるのが最も効果的です。家族信託は「親の生前から没後にかけての『財産の管理・運用・処分』」をスムーズにする仕組みですが、信託財産に含めなかった個人の財産(毎期の年金振込口座や一部の現金など)には効力が及びません。一方、遺言書は「万が一の死亡時に、すべての財産を誰に継承させるか」を一括で確定させる仕組みです。家族信託で「生前の認知症・資産凍結対策」を行い、遺言書で「没後の全財産の最終帰属と二次相続対策」を行うことで、隙のないより強固な生前対策につながります。

Q. 親が80代後半で、少し物忘れが目立つようになってきました。今からでも家族信託や公正証書遺言の作成は間に合いますか?

A. 親御さまに「契約の内容や自分の意思を理解できる状態(意思能力)」が残っていれば、十分に作成可能です。ただし、認知症がさらに進行して意思能力が失われてしまうと、公証人が作成を拒絶せざるを得なくなり、一切の手続きができなくなってしまいます。当事務所では、行政書士として親御さまと直接お会いし、親身にお話を伺いながら意思能力の確認を行い、安全かつ迅速に公証役場との手配を進めてまいります。「少し怪しいかもしれない」と感じられたら、1日でも早くご相談いただくことを強くお勧めいたします。

まとめ|「税務」と「法務」の両輪で、10年後も20年後も笑顔でいられる資産承継を

コラムを通じてお伝えしてきましたとおり、都心部に1億円以上の不動産や資産をお持ちのご家庭において、相続対策とは「亡くなった後の税金計算」だけを指すものではありません。

親御さまが元気なうちに「家族信託」で認知症による資産凍結を防ぎ、「公正証書遺言」で二次相続まで見据えたご家庭に合った権利分けを確定させておくこと。そして、いざ相続が発生した後は、行政書士・税理士のワンストップサポートにより、ご遺族さまが書類集めや名義変更の手間に悩まされることなく、スムーズに財産を引き継ぐことができます。

「税務上の節税シミュレーション」と「法的な権利設計・遺産整理」の両輪をうまく回すことこそが、当事務所の目指す「繋ぐ相続」の形です。

日本橋あんしん相続相談室では、不動産税務に強い女性税理士・行政書士が、ご家族皆さまのこれまでの歩みと将来への想いに優しく寄り添いながら、オーダーメイドの生前対策を提案します。

「我が家の場合は何から始めればいいかしら」「親が元気なうちに一度専門家の話を聞いてみたい」と思われた方は、ぜひ私どもにご相談ください。私どもが、大切な資産とご家族の絆を全力でお守りいたします。

 

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【ご案内と免責事項】 本記事の内容は、執筆時点の法令・通達に基づいた一般的な情報提供を目的としております。実際の相続においては、個別の事案(財産構成、親族関係、特例の適用要件等)により、税務判断や最適な対策は大きく異なります。

記事の内容には万全を期しておりますが、掲載情報の利用によって生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねます。具体的な判断にあたっては、必ず事前に当事務所、またはお近くの専門家にご相談ください。

この記事を担当した税理士

宮本志穂税理士事務所

宮本志穂

保有資格
税理士試験官報合格:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・相続税法、宅建士

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